豆知識
2021/02/05

高齢者の生活と健康をサポートする介護食の基本

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「みんなの質問」コーナーでは、「食」に関する話題の投稿をたくさんいただくようになりました。そして、これをきっかけに、魚の缶詰やフィッシュソーセージなどの水産加工品、最近は介護食の開発・販売に取り組むマルハニチロと「けあのわ」のコラボキャンペーンが実現し、キャンペーンコーナーにも美味しく、安全に食事を楽しんでもらいたいという思いにあふれたコメントを多数いただきました。
そこで今回、管理栄養士・調理師で株式会社ヘルシーオフィスフー代表取締役 徳田泰子さんにご協力いただき、『高齢者の生活と健康をサポートする介護食の基本』について取り上げます。
 
自宅介護の場合は、要介護者の家族が食事を作る機会もあるはずです。その際は、何に注意すれば良いでしょうか。ここでは、介護食の基本をまとめました。
 

噛む機能や飲み込む機能が低下
栄養不足を招くことも……


毎日の食事は要介護者の健康な生活に欠かせません。癒しや張りのある暮らしにも不可欠です。自由に外出できないなど生活に制限があり、心身に不安を抱える高齢者にとって、日々の楽しみでしょう。在宅介護の場合、調理をする方は工夫を凝らしていると思います。
 
そこで注意したいのは、高齢者の身体の変化と食事に対する影響です。主に以下のようなことが考えられます。

・筋力低下などよる噛む機能(咀嚼力:そしゃく力)の低下
・唾液の分泌量が減り口のなかが乾き、むせやすくなる
・口腔内で食材をまとめる力が弱まり飲み込む機能(嚥下力:えんげ力)が低下
・味覚を感じにくくなる、内臓や消化器官の衰えにより食欲が低下

 
噛む機能や飲み込む機能が衰えると食べ物がうまく食べられず、唾液が減るとむせたり、のどにつかえることが多くなります。すると、食べた物が気管に入り炎症が起きる。「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」になる危険性が高くなります。

味覚が衰えることで濃い味付けを好むので塩分過多になることも。硬いものを食べにくくなり食が細くなると、低栄養のリスクも高くなります。その結果、免疫力が低下して病気になりやすく、持病の悪化、認知機能の低下が進むおそれがあります。消化器官の働きが悪くなると下痢や便秘になりやすく、習慣化するとさらに食欲は弱まりかねません。家庭でもこれらに留意した食事作りが求められますが、それは決して難しいことではありません。次のようなことに注意すれば良いでしょう。
 

調理方法をアレンジすれば
安全で食べやすい介護食になる


まずは、基本を知りましょう。食の機能が低下した要介護者でも安心して食事ができるよう、介護食には次のような分類があります。

・きざみ食:噛む機能が低下した人向き
食材を要介護者の咀嚼(そしゃく)状態に合わせ、1~2センチ~数ミリ程度に細かく刻んだ食事のこと。筋力が弱くなり噛む力が低下した人に向きます。細かく刻むと食材が口中でまとまらず、むせや誤嚥を招くこともありますが、適度にとろみをつけることで防止しやすくなります。


 
・ソフト食:噛む・飲み込む機能が低下し食材を舌でつぶせる程度の人向き
食材を煮込んだり茹でたりして、舌や歯茎でつぶせるくらい柔らかく調理した食事のこと。あるいは、食材をペースト状にして型に入れて固めたものもあります。噛んだり飲み込むのが大変な人に向きます。


 
・ミキサー食:食の機能が全体的に低下し噛まなくて良い程度の人向き
食材に出し汁などを加え、ミキサーにかけてペースト・液体に近い状態にした食事のこと。誤嚥を防止するため、とろみをつけることもあります。

主食や主菜・副菜をバランス良く
塩分過多にならないよう気を付ける


以上を踏まえると、食材は細かく刻む。肉は繊維を切って噛みやすくする。野菜も同様で、穂先や葉先の柔らかい部分を使うのもポイントです。

一方、こんにゃくなど弾力があり噛み切れない食材は薄く切り、隠し包丁などの下処理をするなど、食べやすく工夫しましょう。

また、片栗粉や市販のとろみ剤でとろみをつけて口のなかでまとまりやすくすると、食材を飲み込みやすくなる場合があります。長芋の粘りをつなぎに使ったり、マヨネーズを適度に使っても食材はバラバラになりません。ゼラチンや寒天で固める方法もありますが、ゼラチンは、トロンとするので食べやすくなる一方、口の中で溶けるため分離した水分が誤嚥になったり、寒天は硬さがあるため口の中でなじまず勢いで誤嚥になることもあり、要介護者の食の機能を確かめたうえで使いましょう。

主食や主菜・副菜をバランス良くそろえ、まんべんなく栄養が摂れるようなメニューにすることも大切です。塩分過多にならないような味付けも気にしたいところ。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、1日の塩分摂取量目安は男性7.5g未満、女性6.5g未満。高血圧の方は6g未満など、持病によってはさらに注意が必要です。実際は摂りすぎが多いので、注意しないといけません。食材の持ち味を活かして薄味で調理する、減塩タイプの醤油や味噌を使う、塩分が多い漬物や加工食品を控える、麺類のつゆを残すなど、塩分を減らす食生活を心がけましょう。

家族と一緒のメニューをアレンジ
手間をかけすぎないことも大切


一方で、介護食が特別なものになると、作り手にとって負担になることも。家族と一緒のメニューをアレンジするなど手間をかけすぎないのが、長続きの秘訣です。ときには、リクエストも聞いてみましょう。いまは食べやすさなどに配慮した市販の介護食もたくさんあります。こういったものも使いながら、彩り豊かな食卓を目指しましょう。

なお、食事は要介護者それぞれの状態に合わせた対応が大切です。ケアマネジャーやかかりつけ医など専門家によくご相談するようにしてください。
 
監修:徳田泰子さん
株式会社ヘルシーオフィスフー代表取締役/管理栄養士・調理師
病院勤務の後、管理栄養士として独立。利用者目線に立った健康メニュー提案、充実した高齢者食提供の支援など「おいしく・楽しく・健康な暮らし」を実現するため女性起業家として、栄養コンサルティング会社、株式会社ヘルシーオフィスフーを設立にして代表に就任しました。現在は、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、特別養護老人ホームなどの高齢者施設食において、より充実した食事への改善支援、安全な食事提供のためのサポートを行っています。

この豆知識の関連キャンペーンはこちら!
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  • 食べ物を飲み込みづらくなっている母の食事をつくる参考になります。
  • 見ていた好きなドラマでも介護が描かれており、まだまだ大丈夫とはいえ気を引き締めなければ、と思っていた時にこちらのコミュニティ発見。食欲や噛む力の能力は低下していて、悩んでいたので自宅でも作れる介護食の丁寧な説明についメモを取りました。意外と4が大事かも。気を引き締めすぎて、面倒くさい疲れたなんてならないように、長く続けていく、一緒に生きていくためにも一工夫したいですね
  • 2021/03/27
    うまみ酸味などを上手く使って塩分を抑えるようにしたいですね!
  • 隠し味的なものも必要になってきますね
  • 生きる楽しみは食べる楽しみでもあります。どんな状態であれ口から食事がとれるということはありがたいですよね。
    美味しく安全に、そして家族の負担も少ない食事のあり方はこれからますます重要になってくると思います。
    美味しい介護食、私も勉強していきたいです!
  • 母は早食い、一度に沢山入れて食べる習慣がありむせる事が多々あります。長い間の習慣はなかなか直す事も難しく、トロミをつけてむせるのを防いでます。
  • 誤嚥性肺炎を防ぐためとろみをつけていましたが
    この記事を読んでそれでいいんだと安心しました
  • 為になります
  • 安全で食べやすい介護食って重要ですよね.
  • 食はすべての人に大切なテーマですよね。高齢の両親が安心しておいしく食べれる食事づくりをあらためて心がけようと思いました。ありがとうございます。
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